ある日の傍聴席

私はある男女のうち、女Aが男Bに腹部を刺された事件について、裁判所で傍聴していた。

裁判官は女Aの弁護人に向かって、話すよう求めた。

 

...Aの弁護をいたします。まず、AとBの関係について。

AとBは肉体関係にあった。また、トサキントポケモンと認めない関係でもあった。

また、放射能は無いと言う関係であり、ゴキブリを少しの間泳がせておいて、油断させてから殺す関係であった。また、両者は互いに不満を持っており、日夜喧嘩とさいたまスーパーアリーナという名前を変更する遊びを行なっていた。結果、さいたまスーパーアリーナは「星一徹」に変更された。

さらにAは、食器類を壁に投げつけるなどして、Bは「物質が」と思い、危機を感じた。その際にBは傍にあった包丁を取り出し、Aの腹部に向けて刺した。腹部からは血と血でないものが飛び出し、特に血でないものの中にはハローキティの刺繍も含まれていた。その際いただいたのが、こちらのハローキティです。赤くなっていますから、赤くなっているハローキティと呼びましょうか、もともと白だったことがわからないぐらいですね。バイバイキティですよね。ですよね?

 

にわかに、傍聴席からざわざわと声が挙がった。私は、この男はいったいなぜ、殺人を行ったのか考えた。そして、弁護人もおかしいと、もちろん思った。ひとびとの間に、困惑の顔も見られた。しかし、一応は話が続くのかと考えていると

裁判官「静粛に!」

と言った。どうやらまだ続くそうだ。

 

…また、Aは、緊張すると鯛を持ち運ぶ癖があった。鯛を持ち運び、「別に、鯛を持ち運びたいわけじゃないんですけど…」という顔をするので、一部では狂人との呼び声も高かった。BはそんなAに対し、「やめといたほうがいいのになぁ」と思っていた。しかし口から出る言葉は「鯛を持ち運ぶ?いいじゃない。」しかなかった。

 

続いて、男Bの弁護人である。

 

えー、間違っています。AとBはブラッド・ピット全然好きなんだわ関係にあり、二人は同じ部屋に住んでおりましたが、関係としては、Bの部屋にAが居候をしにきた、という関係が正しい。Aはドラえもんに出てくる学校の廊下の絵を24時間描いているだけであり、Bはずっとそれを疎ましく感じておりました。「ドラえもんドラえもんの世界で完結しているので、あなたはドラえもんと関係がないんだよ。」とBはAに対して言いましたが「包茎麦焼酎」とAがそれに対して返したため、両者の喧嘩が起こりました。

それまでも、「ファストボールのなにがファストなのか」という議題で一日中喧嘩したり、「アルマジロってみたことあるのか」という議題で喧嘩したり、「タックスフリーと言われるが、俺たちには関係がない」と言い合っておるのは日常茶飯事であり、二人は近所の人間からは「遠足の最中にお腹が痛くなった時、少しだけ両親のことを思い出すあの感じ」と呼ばれておりました。

以上で、弁護を終わります。Bが全部やりました。

 

私は、弁護のしようがないというのはこういうことなのだろうか?と思った。しかし、どちらにせよどちらの弁護人も相当おかしいし、この事件はどこにも報告されることのない話となるだろうと思う。無論弁護人は狂っているし、AとBは実際どちらが悪いのか、知るよしもない。