OK。たわしをこちらへ向けてくれ。そしてその後「たわしを向けた」と言ってみれくれ。
おい、どうした。なぜ、たわしをこちらに向けない。たわしをこちらに向けてくれ。
それはたわしじゃない。清涼飲料水だ。 なぜたわしじゃないんだ。形が好きなんですよね。触りたくなるじゃない?そうでもないですかね?意見を聞いてもいい?
…うんうんうん。そっか。きもいっすよね。形。
…そうそうそう。もっと向けて。いいところまで来てる。うん、気持ちがいいよ。こちらとしてもたわしが近づいてきてるってだけで気持ちがいいからね。
うん、いいかんじ。茶色っていうのがいいよね。うんちも好きだし。うんち好き?好きじゃないの?じゃあうんち以外はどう思ってる?うんち以外はいろいろあるよ。きみもうんち以外だし。ぼくもうんち以外だよ。でもうんちってさ…
…うんちの話嫌い?気分悪くなった?顔色が悪いよ。うんちしてくる?うんちの話をしてるとうんちが寄ってくるって言うからね。心のうんちが体のうんちに影響を及ぼすってことだね。 ごめんね。でもうんちの話しかできないんだよ。もうすこし、話を続けるね。だいじょうぶ?
で、ちんこってさ… ごめんね。少しからかったんだ。うんちの話の途中にちんこの話をされたら、相当ちんちんだよね。ちんこからうんちが生えてきたみたいになってしまったね。
言いたかったのはね、うんちってさ、出るまではじぶんの体の一部なのに、出た後はうんちになるの、かわいそうじゃない?
もちろんうんちとしての未来は描いているんだけどさ。食べた時点でね。 じゃあ、食べ物を、うんちとしての未来って呼んでみる?いいよね? 文句、ないよね?
なんでうんちの話してるんだっけ? たわしに戻ろうよ。殴るよ。
そう、たわしを向けて。 そうそうそう。ゆっくりでいいよ。たわしがだんだんこっちを向いてきたよ。ほんとう気持ちがいいね。たわしってのは見ていられるね。もうちょっとでたわしがこっちに向くよ。 どうしたの? たわし好きじゃないの?たわしいいですよ。
なんで投げちゃうんだよ。どうしちゃったの急に。たわし悪くないよ。たわしなんにも悪くないよ。物に当たるのやめようよ。たわしじゃなくてじぶんが悪いんでしょ?たわしに謝りなよ。
たわし泣いてるよ。たわしの気持ち考えたことないの?たわしがどんな思いで風呂を磨いてるか考えたことある? いつもはほっておかれて、たまに思い出したように体触って、それで掃除させられてさ。家政婦じゃないっつーの!
まじ、ありえないんですけど!それであげくのはてには暴力ですか!
たわし拾いにいきなよ。なんだよその目は。なんか文句あるなら口で言えよ。物にあたるのはよくないだろ?なんだよ。舌打ち聞こえてるんだよ。おい! なんだお前?心のチンカスが溜まりすぎてるんじゃないか?舐めてあげようかしら。 笑ってんじゃねえよ。これ冗談じゃないよ。さっきの態度はなんだって聞いてんだよ。うん、話がしたい?聞いてみるよ。
「….私は小さい頃に両親からいじめられていました。特に人権を無視されるようなことを言われました。たとえば夕食のことを母親からは餌ができたよなんて言われたこともあって、それがあって今は辛くてたまりません。ああ、ほんとうテレビって面白い。バラエティが好きでよく見てるんだけど何が面白いか考えたことはあんまりなくて、いや本当はあるのかな。なんでこんなことを話してるんだろう。青空、仕事。仕事。青空。天秤にかけたときに、それは妥当ではない意見。放送大学。水野しずは放送大学のラジオを聞いていたからあんな喋り方なんですって。面白くないですか。ってよく元彼が言ってました。それを面白いと思ったことはなかった、」
おやおや、どうやら君にたわしを向けさせるのは間違いだったのかな?仕方ないね。今日はもうちょっとたわしあきらめるよ。たわしを向けさせるだけがわたしの人生じゃないからね。