朝顔くんは絵を描いていました。朝顔くんに描かれている絵は、赤い色で描いていた。「彼は何を考えていたのだろう」
私は夜になるとそのことを記憶から離さなかった。朝顔くんが描いた絵が、先生は良いと言う。「足りない」。 くすんだ色がした制服を着たひとたちが、廊下を歩いていたり遠くをいく。靴の群れが地上を歩いている。鳩が歩いてるのかと思われた。
私はひとりで彼の絵を見ていましたが、「足りない」。 私にとってその絵は誰にとっても滑稽に思われた。私が昨日描いた絵はかなりセックスという感じの絵であったが、家にいるときはすごく良かったのだが、学校の廊下だとだれもみむきもしなくて、私そのとき犬の顔のように臭そうな顔をしていたのではないか。
朝顔くんはひとりで絵を描いていた。何枚も描いた。描かれた絵は置いていた。朝顔くんはコンクールに作品を出したという。私は見にいったとき、すごく広かった会場に歩いていたら隣にいる男の子はすごく早足だった。お酒を飲みながら歩いていて背が大きいと思った。そのとき来ていた男の人がこの絵はいいねと口を開けて話す。とんでもないやつだと思いました。その日から私も絵を描く練習を始めた
絵を描いていると先生に「そんなふうではいけないですよ・こういうふうに描いてください」と言われたので私は「はい。」と言った。いじをはっていてはいけない。私は魚を描いていました好きであられました楽しく描くのが辛いと思われる時もありましたがそんな日は長く続かないと言い聞かせていました。
翌日、予備校に行くと私はまたも絵を描いているとみんなは歩いたり座ったりしていました、そうか魚を描いている時間なのだが邪魔なのだがと思った私の上の電球の色が白くて気味が悪いので気味がわるいとおもいます。と言ったらなにか重大な失敗をしたことに気付いた、私はあなたたちに向かって話しているのです。という顔をしているように捉えられてしまった。
次の日、私は妹に向かって
「絵を描くのはやめます。医者になります」
「医者?」
「はい」
「医者は、勉強が必要だよ」
「それは、絵もそうじゃないか?」
「そうですね」
となった。虎のことを思った。虎は走るが、私は虎を見たことがありませんから。だから魚について描いているのですよ。魚はドンキホーテで見たことがあります。妹は上下にまたがるワンピースを着ていた。それは高校時代に通っていたユニクロで買った服だった。ユニクロは全国に転々と店舗を構えている。もちろん、スターバックスや、マクドナルドも同じだ。ひとびとは、服を買っているのではなく、ユニクロに行くことを経験として捉えているのだ。店が増えれば増えるほど、その店は繁盛していて、誰にとっても安全な店であることを伝えている。そのことは私たちにとっても好都合だ。つまりは、オール・オッケーということだ。
妹はバーに行く。バーでは、ピーナッツを食べているだけで時間が過ぎる。そして、煙草を7本吸うと同時に、店を出るだけでいいのだ。その後に歩く道では、なるべく自分とは関係のないことを考えるのがいい。昔本屋で会った男の子のこと。バタークッキーの手ざわり。ジェームス・ボンドのポスター。
バーでは実にさまざまな人がいる。でも、彼らは顔がついていること意外は普通なんだって、聡美はピーナッツを口いっぱいに頬張って言った。聡美は中世の詩人のようなもったいぶった言い方で話す。そう言う時は決まって、私たちはあえてつまらなそうな顔をしてビールを飲む。それが、私たちの暗黙のルールだった。 聡美はピアノを弾いている。それも決してうまくなく、決して下手でないため、誰もが苦い顔をして拍手をした。そうするしか他に、観客はなにもできなかっただけのことだ。
観客の一人、朝顔くんは、俺(伊藤)の横で下唇を噛んでいた。下唇についてなにか考えたことはなかったが、伊藤はそのとき、なぜか少しだけ懐かしい感じがした。伊藤は朝顔くんと帰りしなに、山口百恵の話をした。伊藤は朝顔くんの横顔を見ながら、夕暮れが過ぎるのを感じていた。