峰竜太と竜雷太の違いを教えてくれる学校

「先生、峰竜太竜雷太の違いを教えてください。」

 

「はい、簡単に言いますと、峰竜太は、蛇口を握るときにそれが蛇口だぞ〜ってめっちゃ想像します。

竜雷太は、蛇口を握るときにそれが蛇口だとは強くイメージしてないです。

 

ちょっとわかりにくいんで、具体的に言いますね。

私は峰竜太とよく2人で鍋をするんですけど。

峰竜太鍋が好きみたいで。鍋の次にドアノブが好きって言ってましたね。キモかったんで他のランキングは聞かなかったんですけど。

 

で、峰竜太は鍋に入ってるちくわぶが、これちくわぶだぞ〜ってすごく思ってるんですね。

どういうことかと申しますと、峰竜太ちくわぶを箸で掴んでるときに話しかけると、だいたい応答が遅いんですね。

この時間は、2、3秒だったり、3分くらいのときもありますね。

この時間はちくわぶから話し相手に意識をフォーカスしていく時間なんだ、ちくわぶから、お前という話し手へと意識を移すのに、人より時間がかかる、と言ってましたね。

言うなれば俺は、落語をやっているんだ。とも峰竜太は言ってましたね。いわく、落語家は話者から別の話者へ移すような話術は、とても上手くやるじゃないですか。しかし、あれを素人がマスターするのにはとても時間がかかる。

俺はそれをちくわぶで行っているんだ。と言っていましたね。俺はいわばちくわぶ亭一門なんだって言ってましたね。なんか気の狂ったじじいを近くで見たことなかったんで、普通に怖かったですね。鍋の湯気の向こうで言っててくれたおかげで、あんまりまともに表情が見えなかったのが逆に良かったですけど。

峰はこのプロセスのことを、"猿のできもの"と呼んでいましたね。なんで?って聞いたら「こんなの猿のできものって言い方以外ないでしょ笑」って言われて、何も言い返せなかったですね。

 

私は峰竜太の番組を見学させてもらったことがあるんですけど。でそのときに、峰竜太は番組が始まるときに名を名乗ってたんですね。「司会の峰竜太です」みたいな。よくあるじゃないですか。私は観覧でその姿を見てただけですが、多分あれは自分自身への移行でもあると思ったんですね。

 

人間としての峰竜太から、MCとしての峰竜太へ移行するための儀式です。多分それをしないと、カメラ横のADの顔立ちや、セットの電球の光り方へ意識が行ってしまい、峰は何も言葉を発することができないんですね。

なので、リハ中の峰は呆然と立ち尽くしていることがよくあるみたいです。

 

対して竜雷太は、トーク番組とかに出てると、家のリビングにいるみたいな顔をたまにしています。テレビに出ている私というイメージを強く持っていないからです。テレビ番組に出てると思ったら、リビングにいるような気分になっていたりします。」

 

「先生、見た目でわかるのはないんですか?」

 

竜雷太は犬を見たら必ず「あ、犬だ」って言いますよ。峰竜太は犬がいても何も言いませんよ。「犬が視界に入ってきたことがない」って言ってましたよ。だから犬を見ると峰竜太は四つ足の方々、と呼んでます。四つ足の方々いるねーみたいな。なんか歩いてはいるよねーっていうのはわかってるみたいなんですけど。犬が歩いているというより魂の入った四つ足が歩いてるみたいな感覚なんじゃないですかね。よくわかんないですけど。

犬を飼ってる人って写真で見せてくるじゃないですか。それを見ると峰竜太は「魂?」とか聞いたり「魂の姿を見せてくれて、ありがとう」って言ったりしてましたね。「かわいくない?これ生まれたばっかの頃」みたいなことを相手が言うと「歩くわけだ」って返してましたね。「魂が、歩くというのは、かわいいわけだ」みたいなことを一人でその後ブツブツ言いながら酒飲んでましたね。ナッツを鷲掴みにして宙を見つめながら食べてましたね。ほとんどこぼしてましたけども。

私は遠くからそんな峰竜太の姿を見たわけですけど、ちょっと声かけられなかったですね。あと、竜雷太はというと、シーチキンのことを鶏肉だと思ってない、とは言ってましたね。あれは電車か何かですよね?と先生は聞かれたことがありました。あまりにも離れてるものを間違えていると、何から訂正すればいいのかわかんないんですよね。」